日経新聞20181225
注目した記事は
処方薬 自宅で入手可能
である。
厚労省は、医療費削減の一環として、患者が自宅にいながら処方薬を入手できる仕組みを作る方針を決めたとの記事である。
PHR(Personal Health Records)の推進を未来投資戦略2018に盛り込んでいることからも、方針として打ち出されるのは予想できたが、果たして目的の医療費削減には貢献するのだろうか。
気軽に在宅医療が受けられる利便性の向上と、医療費削減には論理の飛躍があるように感じる。
パイロットとして愛知県と福岡市など国家戦略特区の一部で7月から運用が始まっているようだが、パイロットの効果分析が既に行われているのだろうか。利便性の向上の面から制度には賛成するが、オンラインでは対面と比べ薬剤師や医師が得られる情報は制限されるであろう。効果や課題の検証はしっかり行ってからの本格導入が望ましいのではないか。
また、スマホで服薬指導などを行うことが可能となるが、在宅医療の真のニーズは高齢者にあるはずであり、スマホのユーザーとは重ならないのではないか。若い同居人がいる高齢者や、老人ホームの入所者などでは、利便性の向上に貢献するだろう。
利便性向上の真の受益者は、老人ホームのスタッフにあるような印象を受けるが、介護業界の負担軽減を考えれば、導入に賛成である。
人の健康にかかわる制度の変更なので、課題の抽出・対処、効果の分析はしっかりと行ってもらいたい。