日経新聞20181225夕刊
注目した記事は
である。
部下が上司を人事評価する360度評価を局長級幹部らへの導入などが提言されたとのことである。
360度評価の導入自体には賛成である。2~3年で人事異動がある省庁においては、部下の方が業務について理解していることも多くあるであろう。
しかし、民間企業でも当てはまるが、業務を行う上で考慮している範囲は上司の方が広いことが考えられるので、評価の影響度には傾斜配分をするなどしないと、縦割りがさらに進み、部分最適になってしまうであろう。
また、対象は局長級幹部とあるが、なぜ対象を設定したのかが、わからなかった。何か理由があるのかもしれないが、実務を取り仕切ることの多い課長補佐級から対象にするのが、よいのではないだろうかと思う。
(新聞記事からはわからなかったが、報告書によるとやはり課長補佐級からが対象であった。)
最後に、作業部会による検討方法であるが、173名で検討とあるが、その人数で深い議論ができたのであろうか。異なるバックグラウンドを持つもの十数名で素案をつくり、173名から意見を募り、優れた意見を出したものは素案作りの場で議論に参加するなど、効率的な議論をしていく必要はなかっただろうか。
(分科会などグループに分かれて検討したようである。)
日経新聞20181225
注目した記事は
処方薬 自宅で入手可能
である。
厚労省は、医療費削減の一環として、患者が自宅にいながら処方薬を入手できる仕組みを作る方針を決めたとの記事である。
PHR(Personal Health Records)の推進を未来投資戦略2018に盛り込んでいることからも、方針として打ち出されるのは予想できたが、果たして目的の医療費削減には貢献するのだろうか。
気軽に在宅医療が受けられる利便性の向上と、医療費削減には論理の飛躍があるように感じる。
パイロットとして愛知県と福岡市など国家戦略特区の一部で7月から運用が始まっているようだが、パイロットの効果分析が既に行われているのだろうか。利便性の向上の面から制度には賛成するが、オンラインでは対面と比べ薬剤師や医師が得られる情報は制限されるであろう。効果や課題の検証はしっかり行ってからの本格導入が望ましいのではないか。
また、スマホで服薬指導などを行うことが可能となるが、在宅医療の真のニーズは高齢者にあるはずであり、スマホのユーザーとは重ならないのではないか。若い同居人がいる高齢者や、老人ホームの入所者などでは、利便性の向上に貢献するだろう。
利便性向上の真の受益者は、老人ホームのスタッフにあるような印象を受けるが、介護業界の負担軽減を考えれば、導入に賛成である。
人の健康にかかわる制度の変更なので、課題の抽出・対処、効果の分析はしっかりと行ってもらいたい。
日経新聞20181224
今日の朝刊で注目した記事は、
教育欄 学ぶ 磨く 育つ
である。
塾講師3氏の座談会の記事が掲載されていたが、元教育産業に従事していた経験から、違和感を持った。
そもそも、「受験勉強の意義」や「大学入試改革」など、狭い範囲での議論を日経新聞として扱うことに重要な意義があるのだろうか。本質的に「これからの時代に必要な教育とはなにか」、「その実現のために塾が果たすべき役割は何か」が総括としてふさわしいのではないか。
私自身も高校受験・大学受験(・大学院受験)を経験している。受験制度は必要なものであろう。
しかし、「そもそもの現在の教育が本当に時代に合ったものなのか」、また、「入試の制度もそれにふさわしいものなのか」については疑問を感じる。
そもそも、教育について、塾講師のみで意見を交わす形式に限界がないか。様々な経験を持った人が集まり、教育について意見を交わすことでしか、よい議論はできないと思う。
私自身、現在、コンサルタントとして行政を中心に課題解決のお手伝いをしているが、以前は、科学館のインストラクター、理科実験教室講師などをしていた。
自身の経験から、受験の指導で大事だと思うことは、橋野氏と同意見である。橋野氏は「覚えるんじゃない!理解する。正解かどうかは関係ない。思考の過程が最も大切である。」と述べている。答えのある問題に対して、正解かどうかだけで判断していると、実社会の答えのない問題に対して取り組む姿勢が育まれないと思うので、この考えが、教育界全体に広がってくれたらよいのにと個人的には思っている。
日経新聞20181223
今日の朝刊で注目した記事は、
・若手経済学者海外に活路
である。
「米国で経済学者をデータ分析で生かすIT(情報技術)企業が増え、これを背景とする人材争奪などで大学の報酬も手厚くなっているためだ。」
今後、様々・膨大なデータが蓄積され、それをどのように分析・活用するかが競争力を高めるうえで重要になってくるだろう。その分野で活躍できる人材の報酬が手厚くなるのは当然だろう。
ビックデータの活用に本格的に取り組んでいるのは、米国の企業が中心であろうから、報酬だけでなく、研究環境的にも、海外に流出するのは当然だと思う。
国は、国際競争力の強化を加速させる分野の人材育成・確保に力を入れるべきだと思う。また、企業は博士号を保持した専門職の活用を積極的に進めていく必要があるのではないか。
国内の企業は、博士号を持つ人材は、使い勝手が悪いと敬遠してきた歴史があると思う。しかし、専門性の高さを活用できる仕組みづくりを進めていかないと、競争力がなくなっていってしまうのではないか。
新聞力‐できる人はこう読んでいる‐ 齋藤孝 ちくまプリマ―新書
新聞力‐できる人はこう読んでいる‐ 齋藤孝 ちくまプリマ―新書
こんな人におすすめ
・大学生で就活に向けて新聞を購読しようか検討している人
・新聞の読み方・活用の仕方に自身のない大学生
・教育で新聞を活用したいが、具体的な活用方法の事例が知りたい人
内容(章立て)
- なぜ今、新聞なのか
- サイトウ流「新聞活用術」
- 新聞で身につく力
印象に残ったフレーズ
・インターネット社会といっても、社会に関心がなければ自分の興味のあるところしか見ません。そうすると情報の範囲が限られてしまいます。
→社会で起きていることは、それぞれ相互に影響しあって起きている。正しく理 解・問題解決するためには、ある程度幅広くベースの情報を収集する必要があ るという意味で、筆者の意見に共感しました。
・情報に事実と解釈の区別がつくようになると、自分が文章を書く時も、非常にメリハリのある論理的なものが書けるようになります。
→事実と解釈を混同すると行き過ぎた(偏った)意見に発展しがちだと思うので、 バランス感覚を保つためにも、このトレーニングは有効だと感じた。
日経新聞20181222夕刊
今日の夕刊で注目した記事は、
シェアサービス 子育て層をつかむ
である。
「乳幼児・未就学児の子供がいる人のシェアリングエコノミーの利用経験は24%と、子供がいない人(14%)より高い」との調査結果があるとのことで、子育て世代のニーズをくみ取っているのであろう。
しかし、シェアするのは、知育玩具の「モノ」だけでは、もったいない。私が理科教育業界にいたとき、親御さんは試行錯誤を繰り返し、ご自身のお子さんにあったものを選ぼうとしていた。知育玩具の選び方や、その知育玩具と発達段階のタイミングの合わせ方、知育玩具の効果などもデータを収集・分析することでシェアできるのではないだろうか。
シェアしていたものを返却する際に、アンケートに回答してもらうことで、そのお子さんとの相性や、発達段階とマッチしていたのかなどの分析が可能になる。また、分析結果から、新たな知育玩具の商品開発にもつながるだろう。
子供の遊びの発展は社会全体にとって重要だと思う。子供の発達に貢献するシステムまで、シェアシステムを発展させられたら素晴らしいと思う。
たかが玩具、されど、楽しみながら学ぶことこそ、最高の教育になるはずだ。個人の特性に合わせて最高の教育を提供できたなら、楽しい社会になるのではないか。
様々な種類の玩具(体験)をモノのシェアにより低コストで提供
&
個性と発達段階に合わせてオーダーメイドの(玩具の組み合わせ・タイミングで)提供
子供の教育に携わった身としては、とても楽しみなシステムに発展しそうで、大いに期待しています。
日経新聞20181222
今日の日経新聞朝刊で注目したのは、
①2019年度予算案
②深刻なIT人材不足
の2つである。
①2019年度予算案
101兆円の予算規模とのことであるが、財政規律について不安を感じる。このままでは、将来世代に負担ばかり残すことにならないだろうか。
そもそも、日本としての発展の方向性と、そこからブレークダウンした2019年度に行うことの整理が足りていないと感じる。単年度ごとの場当たり的な対応では限界があるだろう。
積み上げ式の視点だけでなく、予算の全体枠を定め、優先順位の高いものから予算に組み込んでいく視点も必要ではないか。
増税による消費の落ち込みを想定した景気対策を盛り込んでいるが、そもそも、世界的な景気変動は別として、日本はどのようにして世界の中で発展していくか、戦略が見通せていないように感じる。
幼児教育の無償化は、少子化対策・女性の活躍推進の面から一定の効果があるだろう。しかし、これからどのような人材を育てていきたいのか、そのためにどのような教育をどの段階で施すのかについても検討する必要があるのではないか。ただ単に無償化するだけでは、場当たり的な対策と言わざるを得ない。
積み上げ式の視点だけでなく、予算の全体枠を定め、優先順位の高いものから予算に組み込んでいく視点も必要ではないか。
個人的には、人材育成に予算を割くべきで、景気対策は抑え目でよいのではないかと考える。優秀な人材が増え、日本の国際競争力が高まれば、日本の景気は良くなるだろうし、人材育成には時間がかかり、早く手を打たないと取り返せなくなると感じているからである。
②深刻なIT人材不足
情報化社会の高度化は今後も続くであろう。ITの分野で出遅れることは、すべての分野でハンデを負うことになると考える。IT人材の早急な育成のための施策と、その次に必要になる人材とその確保方法について検討するべきである。
個人的には、情報化社会の高度化が進むと、電力供給力の増強・省エネやレアメタルの確保・効率利用・再利用が必要になってくると読む。深海・宇宙開発分野も資源の確保のために重要になると考える。